【特集】2020年開催の大規模ボードゲームイベント情報

【インタビュー】OKAZU brand・林尚志氏

【インタビュー】Okazu Brand/林尚志氏 その1

今回は、OKAZU brandのデザイナー林尚氏にインタビューをしてきた内容を記事にしました。内容は、2017年10月にインタビューした内容となっております。

音声書き起こしが億劫だったたため、公開に半年を要してしまいました。初めてのインタビューとなっており深掘りしきれていない部分もありますが、お読みいただければ幸いです。

また、約1万文字近い内容になっているため3回にわけて公開したいと思います。それではどうぞ。

よこはまのボードゲーム屋さんリゴレ様でのお仕事について

ニコボド

本日はよこはまのボードゲーム屋さんリゴレ様にお邪魔し、OKAZU brandゲームデザイナーの林尚志さんにインタビューをさせていただきます。どうぞよろしくおねがい致します。

Okazu Brand:林尚志

よろしくお願いします。

ニコボド

毎週金曜日をよこはまのボードゲーム屋さんリゴレ様で働いていらっしゃるかとおもいます。来るときは、イラスト担当で奥様であるにゃもさんと一緒にいらっしゃってるのですか?(インタビュー当日は、お隣の卓にいらっしゃりました)

Okazu Brand:林尚志

そうですね。大体中華街で昼ごはんを開拓してから来ています。僕は最後までいて、にゃもさんは少し早めに帰っています。時間としては、午後の2~3時くらいからお店にいます。

ニコボド

始めて1ヶ月位になるかと思いますがいかがでしょうか?実際にゲームデザインに関する相談などもありますか?

Okazu Brand:林尚志

ゲームデザインの相談はありますね。あと、夜に店長とやりたいゲームをやったりしています。

リゴレさんに伺った際の記事はこちら↓

参考 横浜・元町中華街/石川町のボードゲームショップ『リゴレ』へ行ってみた : ニコボド | ニコのボードゲーム日記

専業ゲームデザイナーになったきっかけは
『トレインズ』と『レイルウェイズ・オブ・ニッポン』

ニコボド

いつから専業デザイナーになられたのでしょうか?

Okazu Brand:林尚志

3年前(2014年)ですね。丁度『トレインズ(Trains)』がアメリカでオリジンズ賞2017の大賞をとったときに決心しました。

また、海外のお客さんからのゲームデザイン依頼が2つくらいあり、兼業でまわすのは無理だなと判断して専業になりました。

Okazu Brand:林尚志

1つはポシャってしまったのですが、もう1つは『レイルウエィズ・オブ・ニッポン (Railways of Nippon)』です。

ニコボド

発表されたのは最近(2017年1月にKickstarter開始)であると記憶していますが、そんなに昔に話しがあった企画なのですね。

Okazu Brand:林尚志

そうなんです。結構ボードゲームの開発ってスパンが長いので。

ニコボド

具体的に各工程はどのくらいの期間かかっているのですか?

Okazu Brand:林尚志

私の方で行った作業は調査2か月、デザインと調整に6か月ぐらいになります。 その後、出版社に渡したのですが、そこから出版されるまでに結構時間がかかりました。

発売時期が後ろにずれる場合があり、アメリカでは本当はこの時期出す予定だったけど、急にものすごい良いゲームが出たりするとそっちを優先して、遅らせたりすることがあります。

レイルウェイズ・オブ・ニッポン
▲レイルウェイズ・オブ・ニッポン:プレイ風景
(引用:Board Game Geek
ニコボド

マーティン・ワレス氏との共作になりますが、御本人とのやりとりなどはあったのですか?

Okazu Brand:林尚志

残念ながら無いですね。ワレスさんは『Railways of the World』の基本コンセプトのみで、それぞれの拡張は別々のデザイナーがデザインしているようです。

ニコボド

全ての調整は林さんがおこなわれたのですか?それともある程度作ったあとに出版社側でデベロップが行われたのですか?

Okazu Brand:林尚志

後者ですね。最初は、こちらでプロトタイプとテストプレイを繰り返しました。こちらでそのまま販売しても大丈夫だと思ったものを、出版社に渡しました。その後、出版社側でも調整が入った感じです。

ニコボド

なるほど。そのようになっているのですね。

専業ゲームデザイナーであることについて

ニコボド

専業ゲームデザイナーになっていかがですか?兼業よりもいいことなどはありますか?

Okazu Brand:林尚志

なんでも自分で決められるのはいいですね。責任は全て自分ですし。

ニコボド

後ろ盾がなく、収入が減るリスクなどへの不安はありましたか?

Okazu Brand:林尚志

不安は常にあります。業界が縮小してしまったら終わってしまうので。

ニコボド

世界的にはマーケットが大きくなっているはいえ、常に不安と戦いながらゲームを作ってらっしゃるということですね。

他に意識されているこることなどは何かありますか? Saashiさんとの対談本『創造的な習慣』では、同じタイプのゲームを作らないようにしているというのを拝見しました。

ニコボド

アメリカに行った際にスーパーマーケットの「TARGET」に置いてあるのをみました。

ローリングアメリカ

参考 アメリカボードゲーム紀行『TARGET Tanforan』 : ニコボド | ニコのボードゲーム日記
Okazu Brand:林尚志

GAME WRIGHTさん(※『ローリングアメリカ』の発売元)はホビーではなく、おもちゃ屋さんやスーパーに置いているので数が出たのではと考えています。

ニコボド

私の事前予想では、先程話しに出た『トレインズ(TRAINS)』かと思っていました。

Okazu Brand:林尚志

そっちは大箱ですからね(笑)

ニコボド

海外での販売状況は随時入ってくるのですか?

Okazu Brand:林尚志

時々送られてくるレポートで状況を把握しています。

TRAINS
▲トレインズ:プレイ風景
(引用:Board Game Geek

ニコボド

最も沢山の国から出たゲームを教えて下さい。

Okazu Brand:林尚志

国というよりは言語別になりますが、『トレインズ(TRAINS)』です。英語、ドイツ語、中国語、スペイン語、ロシア語の6ヶ国語です。

ニコボド

なるほど。ということは、遊ばれている国はこの数より多いということですね。

『横濱紳商伝』の各国ゲーム賞ノミネートについて

ニコボド

2017年は、様々なゲーマ―ズ賞の上位に『横濱紳商伝』がランクインしました。

『横濱紳商伝』はランダムマップ生成であっちいったり楽しいゲームでした。支持されている理由はどうお考えでしょうか?

Okazu Brand:林尚志

何度でも楽しめるところかなと思っています。

ニコボド

はやり意識してつくられたのですか?

Okazu Brand:林尚志

そうですね。あと勝ち方が何通りかある所でしょうか。

ニコボド

得点手段がいくつかあるなかで、リプレイ性のあるランダムマップの調整は大変ですか?

Okazu Brand:林尚志

大変でした。偏った配置なども、結構試しました。

ニコボド

組み合わせとしては、何百通りかありますよね。シミュレーションなどはされるのですか?

Okazu Brand:林尚志

1人でのテストプレイはせず、対面で繰り返しテストプレイをしました。

ニコボド

なるほど。それはかなりの数のテストプレイをされたのですね。最終的には、いくつの賞を受賞したのでしょうか?

Okazu Brand:林尚志

ベルギーのゲーマーズ賞を受賞したと記憶しています。あとは様々な賞にノミネートされました。ポルトガル年間ゲーム大賞、ミープルチョイス賞、国際ゲーマーズ賞 などでしょうか。

横濱紳商伝
▲横濱紳商伝:プレイ風景
(引用:Board Game Geek

ニコボド

『横濱紳商伝』は再び日本で展開される予定などはありますか?

Okazu Brand:林尚志

今後別のところから出る可能性がありますが、OKAZU Brand版はでません。

ニコボド

『横濱紳商伝』を買い逃した方も沢山いらっしゃると思うので、発売されるのを期待しております。

海外版が出版される流れについて

ニコボド

今や全世界で新作が発売されているOKAZU brandさんですが、どのような流れで海外版が出版されるようになったのでしょうか?

Okazu Brand:林尚志

ヤポンブランドがきっかけです。実はヤポンブランドに誘って下さったのがカワサキファクトリーの川崎さんでした。

ニコボド

川崎さんの『R-Eco』なども早くから海外で出ていましたね。

Okazu Brand:林尚志

ヤポンブランドでは、最初に『ひも電』を委託しました。

Okazu Brand:林尚志

当時日本の有名なデザイナーさんを誘っていて、常次さん(操られ人形館)とかにも声をかけていたと記憶しています。

『ひも電』は、2社から声がかかりました。 1社がカナダのFoxMind、ヨーロッパはAsmodeeからです。最終的に、両方から『ひも電』が発売されました。

ニコボド

現在では、海外版はゲームマーケットでの発表後に半年以内に発売する流れとなっているようにお見受けしますが、発表後すぐに海外出版社から話があるのですか?

Okazu Brand:林尚志

ゲームマーケットの前日にヤポンブランド主催の海外交流会があるのですが、そこで決まることが多いです。

最近は、あんまり競争したくないからということで条件を出して頂いて、Tasty Minstrel Games (TMG)とは仲いいですね。遊んだ日の夜にFacebookでメッセージが来ます。ラフな条件がきて、本格的な契約に至ります。

ニコボド

様々な出版社さんからオファーがくるかと思うのですが、国ごとに契約するのですか?

Okazu Brand:林尚志

契約には、ワールドワイドライセンスを渡して各国のサブライセンスを渡す場合と、言語毎に契約する場合があります。

ニコボド

今はどちらが多いのですか?

Okazu Brand:林尚志

ワールドワイドが多いです。今、市場としてアメリカがホットなので英語版を欲しがっていますね。

ニコボド

海外の出版社へゲームをご自分で売り込むことはあるのですか?

Okazu Brand:林尚志

昔は自分から売り込みもしてみたのですが、うまくいかなくて最近はあまりやってないですね 。

エッセンに行った際にサンプルを渡したりしていました。

わかったこととしては、実際の印刷物が仕上がっているほうが自分の国で売るにはこの絵にしようなど出版社側もイメージがつきやすいみたいです。

プロトタイプのゲームを渡しても、出版社から「これじゃわからない」といわれてしまいます。

ニコボド

なるほど。実際のコンポーネントやカードアイコンなどのイメージが実際の製品のほうがつきやすいということですね。

ボードゲームのテーマについて

ニコボド

さきほど、アメリカ市場がアツいとおっしゃっていましたが、2017年にドイツゲーム賞を受賞した『テラフォーミングマーズ』なんかもアメリカのゲームという印象を受けました。

参考 ゲーム紹介『テラフォーミング・マーズ (Terraforming Mars)』 : ニコボド | ニコのボードゲーム日記
Okazu Brand:林尚志

デザイナーはスウェーデン人ですけどね(笑)

実は、ドイツだとSFテーマは売れないんです。SFとゾンビはアメリカ。

ニコボド

なるほど!

Okazu Brand:林尚志

ヨーロッパだと中世。バイキングなんかもドイツですね。

ニコボド

個人的にバイキングのテーマって全然ピンとこないんですよね。想像がつかなくて…日本はなんですかね?

Okazu Brand:林尚志

いまはそれほどでもないですが、アニメとかですかね。日本人はテーマ重視なので、理屈の通ったテーマがついていないと売れないと考えています。

日本が「テーマ」、欧州が「システム」、アメリカが「データ」とよくいわれています。

ニコボド

データとはどいういったもののことを言うのですか?

Okazu Brand:林尚志

めちゃくちゃカードが多く全部ユニークカード。バランスをあまり考えていない感じです。

たとえば、「これは(現実に基づくと)実際はこういう強さなので、カードでも強いんだよ。たとえバランスが悪くてもしょうがない。」みたいなイメージがあります。

ニコボド

なるほど。そういった国ごとの特色を見ながら遊んでみると、違ったゲームの面白さがありそうですね。

Okazu Brand:林尚志

フランスはアメリカとドイツの中間位でしょうか。アメリカのゲームなんだけど、おしゃれなデザイン付けて少し軽くしてる。アントワーヌ・ボザ氏(『世界の七不思議』など)、ブルーノ・カタラ氏(『キングドミノ』など)はそんな感じです。

エッセンでのサイン会について

ニコボド

エッセンなどに行かれた際ですが、サインをねだられたりすることはあるのですか?

Okazu Brand:林尚志

たまに言われますね。ヤポンブランドブースにいたので、「お前のゲーム買ってきたよ!」と向こうの出版社のゲームを持ってきてくれてサインをすることがあります。

ニコボド

エッセンでは、デザイナーさんがブースでサイン会することがありますよね。こちらはされたりはしましたか?

Okazu Brand:林尚志

まだ体験してないんですよ!

ニコボド

そうなのですね。『横濱紳商伝』のヒットがありましたし、今後サイン会開催があると良いですね。

ニコボド

2016年にエッセンに行った際、アレクサンダー・プフィフィスター氏(『グレート・ウエスタン・トレイル』『アイル・オブ・スカイ』など)のサインが欲しかったんですよね。ただ、1日目しか私は参加できなくて、彼のサイン会は週末だった関係で断念しました。

Okazu Brand:林尚志

彼は本業が忙しくて、エッセンに来れるのは土日なんですよね。

確かファイナンシャル・アナリストだったりするんですよね。

ニコボド

そうですね。過去にインタビュー和訳をした際にそのように答えていました。

あれだけ世界的ヒットを多数だしていても兼業なのかと思ってしまいますね。

参考 インタビュー和訳『アレクサンダー・プフィシュター』 by Meeple Mountain : ニコボド | ニコのボードゲーム日記
Okazu Brand:林尚志

勝手なイメージなんですけど、ドイツってマイスターの国でボードゲームマイスターはないんじゃないかなと思っているんです。

ドイツってマイスターの国で職業ごとにランクが儲けられているんですね。例えばパン職人マイスターとか。なので、ボードゲームデザインマイスターがないんじゃないかと勝手に思っているんです。

ドイツ人は高校生の時にコースがわかれていて大学に行くわけではなくどのマイスターに進むか決めるんです。

ニコボド

マイスターの資格があれば職に困らない仕組みになっているということですね。そういった仕組みは大変面白いですね。勉強になりました。

テストプレイについて

ニコボド

ゲームデザインにおけるテストプレイなどについて教えて下さい。

アントワーヌ・ボウザ氏が、ゲームマーケット2017春でテストプレイは50回はするべきということをおっしゃっていました。林さんはテストプレイはどのくらい実施されていますか?

参考 アントワーヌ・ボウザ氏『(Game design is all about…) …PLAYTESTING』 : ニコボド | ニコのボードゲーム日記
Okazu Brand:林尚志

30ゲーム位でしょうか。基本的には、頭の中でバランスを整えています。

でも実際にプレイしてみたら違ってたりとか、

ほかのプレイヤーの表情を見てみると、苦そうな顔や、つまらなそうな表情をしていないかなどを見ています。

最初は絶対に一緒に入った方が良いですね。その後は入ったり入らなかったりします。

ニコボド

期間的にはどのくらいですか?

Okazu Brand:林尚志

短いゲームは1~2ヶ月、重量級は半年です。

ニコボド

『横濱紳商伝』も半年くらいですか?

Okazu Brand:林尚志

本格的に作り始めてからだいたい半年ですね。

あのときはかなりテストプレイ頑張りました

ニコボド

テストプレイ環境は困ることはありますか?オープンゲーム会に持ち込まれたりされるのですか?

Okazu Brand:林尚志

最初は決まったメンバーでやっています。オープン会などには、あまり持ち込んだりはしていません。

決まったメンバーは、面子の個性がわかるのでそちらで繰り返し遊びます。オープン会はほぼ完成していて、どこがわかりにくいかの参考などにします。

ただ、テストプレイ回数は増やしたいですね。現状週1~2回位なので・・・

ニコボド

にゃもさん(OKAZU Brandの全てのアートワークを担当)とはテストプレイはされないのですか?

Okazu Brand:林尚志

ないですね。僕のゲームを1回もやらずにイラストを描いてくれています。

ニコボド

ええっ???!

にゃもさん

『横濱紳商伝』はやったことないです。

ニコボド

『横濱紳商伝』は重いですしね。軽めのゲームな『ひつ陣』などはいかがですか?

にゃもさん

ゲムマで初めてやりました。

ニコボド

なるほど。ちょっと驚きました。

Okazu Brand:林尚志

でもボードゲームは好きなんですよ。

ただ、僕とは絶対に一緒にやらないですね。

ニコボド

何故でしょうか?家にもすごい数のゲームがあるのに…

Okazu Brand:林尚志

僕がプレイヤーとしてめんどくさいからじゃないですか?熟練者なので。

協力ゲーム(パンデミック)とかはやりました。

ニコボド

対戦じゃなければいいんですね。

負けて嫌いになってもお仕事に支障をきたしますからね(笑)

ゲームバランスの調整について

ニコボド

ゲームバランスの整え方について教えて下さい。

Okazu Brand:林尚志

こんなゲームを作りたいとなったあとにエクセルでデータにまとめます。次にパワポでカードを作ります。そのあと、エクセルのデータってバランスの評価式みたいなのを作ります。

それをチューニングするのがバランスとりです

ニコボド

評価式というのは複雑なものなのですか?

Okazu Brand:林尚志

その辺をどうするかという式を毎回いれかえています。A~Cがあって、Cの方が強くてAとBの半分にしてという感じです。

カードの強さを数値化したということになります。これには欠点もあって、AとBのリソースを使うカードがあって、そこにテコ入れをすると他のカードにも影響するんです。

ニコボド

評価式の解は勝利点なんですか?

Okazu Brand:林尚志

それも要素の1つです。様々な要素の評価値がでます。

ニコボド

なるほど。さまざまな要素があると。

Okazu Brand:林尚志

前職ではデジタルゲーム会社にいて、横でそういうことをしてる人がいたんで。見よう見まねでやりました。

デジタルゲームだと数千アイテムあるので、そちらの方がより複雑です。デジタルゲームのゲームデザイン本などに載っているかと思います。

ニコボド

以前式を使っているというのを見かけて、どういう仕組みなのかが気になっていました。

Okazu Brand:林尚志

カード毎に評価値を付けて、これが強いこれが弱いというのを決めています。 最終的にそれが何枚ずつ出てくるかを調整しています。

そうしないと重ゲーは作れないですね。式がないと、すこし変化させたときに他のところへの影響が出ていたりすることもあります。

(式がないと)このカードだけじゃなく、あっちのカードも直さなければいけなかったのに、直すのをわすれたりということになりえます。

ゲームシステムには式はなく、カードや『横濱紳商伝』での土地の効果などに具体的に用いられています。

ニコボド

教えて頂きありがとうございます。自分でも少し勉強してみます。

日本の現在のボードゲームシーンについて

ニコボド

日本のボードゲームシーンについて思ってらっしゃることはありますか

Okazu Brand:林尚志

最近、ボードゲームがかなり一般化していて、そこは良い点だなと思っています。沢山の人が入ってきていて趣味が「ボードゲームです」と言っても通じる位になったと思っています。

特に学生さんなんかは良く知っています。一方で、市場大きくなりピラミッドが大きくなって下も増えたし上の高さもすごいことになっていると思っています。

ニコボド

イエローサブマリンさんの売上ランキングを見ると上位に『ハコオンナ』、『犯人は踊る』、『桜降る代に決闘を』は売れ続けていますね。

中でも『桜降る代に決闘を』は、イベント・WEBサイト構築・限定プロモ配布などを積極的に行ってトレーディングカードゲームが好きな層をがっつり取り込んでいるように見えます。

Okazu Brand:林尚志

『ハコオンナ』の場合に関しては、EJIN研究所の江神号さんがショップさんでのイベント営業頑張ってらっしゃったので、それが結びついたのだと思っています。

ニコボド

そういえば、NHKワールドの特集でカナイさんと江神号さんと御三方で出てられていましたよね。黒背景に腕を組んでらっしゃる感じがTVチャンピオンみたいでかっこよかったです!

Okazu Brand:林尚志

急にスタジオ行ってあれやってくださいと言われました(笑)。実は、最初は時刻表を持ってめくってくれと言われたんですよ。

ニコボド

え~!そんなシーンありましたっけ?

Okazu Brand:林尚志

最終的になくなったんです。時刻表見てぺらぺらめくっているシーンが欲しいといわれて。

実際とってみたら、ペラペラめくるのは、あまり動きがないといわれてボツになりました。

ニコボド

そんな裏話があったのですね。ただ、最初からある程度想像できたのでは…(笑)

Okazu Brand:林尚志

視聴率が良いとパックンさんとホラン千秋さんがやっている番組「Doki Doki! ワールドTV」の方に出るということになっています。

好評だったと担当の方から連絡があり、中国語版とポルトガル版を作りたいんだけれど良いかとありました。

ニコボド

反響はいかがでしたか?

Okazu Brand:林尚志

結構な人が観ましたよと言ってくれましたね。

全国のボードゲームイベントについて

ニコボド

OKAZU Brandさんは、全国のボードゲームイベントがあって積極的に参加されていますね。

Okazu Brand:林尚志

旅行ついでに行きたいかなという感じです。

ニコボド

イベントに行くと交通費や出展料などがかかってしまいますが、そこを鑑みても出るべきという判断なのでしょうか?

Okazu Brand:林尚志

正直な話、ペイするかというとしませんね。なので、OKAZU Brandのゲームを色々な方に知ってもらうというところに重きを置いています。

あとは、旅行に行って美味しいものを食べると。

ニコボド

なるほど。認知してもらうというのは、消費行動で一番大事ですからね。

Okazu Brand:林尚志

特に「来てくれてありがとう」と言ってもらえると嬉しくなりますね

ニコボド

実際に行ってみて感じたことはありますか?

参考 familygamefestival 参考 金沢ボードゲームマーケット - 金沢ボードゲームマーケット
Okazu Brand:林尚志

2017年は、名古屋(ファミリーボードゲームフェスティバル)と金沢(金沢ボードゲームマーケット)に行ったのですが、それぞれ違う盛り上がり方をしていました。

名古屋はファミリーの方が多かったです。金沢は、北陸代表という感じです。

ニコボド

金沢ボードゲームマーケットは、金沢駅の建物内で行われたイベントですよね。

Okazu Brand:林尚志

そうです。なので、一般の方も多く覗いてくれていました。

ニコボド

イベントのコンセプトによって客層も大きくことなるということですね。

ルールライティングについて

ニコボド

ゲムマ秋はどのような予定ですか?

Okazu Brand:林尚志

軽いのと重いのを出す予定です。(補足:『かうんとり』と『ねずみ海賊ラッタニア』が発売になりました。)

ニコボド

なるほど。入稿はおわったのですか?

Okazu Brand:林尚志

まだです。ヒーヒー言いながらやってます。あとは説明書だけです。

ニコボド

説明書はいちばん神経つかいますよね。ゲームが出てしまったら、それしか頼りにならないですから。

Okazu Brand:林尚志

そうですね。きちんと仕上げても、遊ぶ方が前にやったゲームと勝手に勘違いされてしまって正しく遊ばれない場合なんかがあるんですよね。

ニコボド

そんなケースがあるのですね。さんざんテストプレイして、知らない人がわかる文章を書くというのは難しいですよね。第三者の方にフラットに観てもらうというのは大事ですよね。そして、表記揺れ、用語の説明、意味が通じるかなどチェックするところが多いと思っています。

Okazu Brand:林尚志

英語は同じフレーズを繰り返し使えるんですけど、日本語は同じ表現をつかうとくどいと言われる。でも言っておかないと言葉が足りないといわれる日本語がこういう説明に向いていないなと。

ニコボド

てにをはとか単語の並べ方も難しいですよね。主語と述語の位置関係とか。

Okazu Brand:林尚志

日本語は主語を省略するので、「私は」「私は」が続くとくどく、省くと異なる主語で捉えられてしまうという・・・

ニコボド

そういうことですね。ルールライティングは大変ですね。

Okazu Brand:林尚志

英語のほうがそういうのが向いているんですよね

Okazu Brand:林尚志

前にブルーノ・フェドゥッティ氏がブログで書いていたのですが、フランス語もルールライティングには向かないらしいです。

抒情詩を書くにはフランス語はとても向いているのだけど、説明するには全く向いていない。英語がいいそうです。

それも向いているのは、アメリカ英語です。イギリス英語は、アメリカ英語で1種類の単語を4種類位の意味を持っていることもあるので。

ニコボド

それは知りませんでした。英語は汎用性が高いのですね。

ブルーノ・フェドゥッティ氏の記事はこちら↓

参考 Français ou Anglais French or English | Bruno Faidutti

今後の予定

ニコボド

今後の予定はいかがですか?

Okazu Brand:林尚志

テストプレイしていて未発表のゲームが2つあるのでそれを出すもしくは、そろそろ重量級のゲームも作りたいんですよね。
(注:未発表だったゲームは「メトロックス」「ストックホールデム」です。)

あーと、アークライトさんから『AZUCHI』という日本の城を作るゲームが出ます。

これは重ゲーです。2018年発売だと思います。

ニコボド

そうなのですね。とても楽しみです!

マイ・ベストゲーム

ニコボド

最後に林さんのマイ・ベストゲームを教えてください。

Okazu Brand:林尚志

デザイナーとしては『チグリス・ユーフラテス』が好きですね。プレイヤーとしては『18xx』です。

Okazu Brand:林尚志

『チグリス・ユーフラテス』は私の固定観念を変えてくれたゲームです。

当時のゲームは、お金や勝利点を稼ぐゲームが多かったのですが、『チグリス・ユーフラテス』は4種類の勝利点を稼ぎ、その最低値で勝敗を決める。また、『チグリス・ユーフラテス』には国の概念があります。

当時のゲームで国というとプレイヤーが1つの国を担当するゲームが多かったのです。しかし、『チグリス・ユーフラテス』では、国はプレイヤー固定ではなく、大臣を置いたらそこがプレイヤーの国になります。その辺が私にとっては新しい概念でした。

Okazu Brand:林尚志

『18XX』はただただ好きですね。まず私は鉄道ゲームが好きです。

それと、プレイヤーが1会社を担当するわけではなく、会社ごとに筆頭株主が会社を運営する。しかし、恩恵は複数の株主に及ぶ部分が面白いですね。また、長く続いているシリーズで累計で100種以上の『18XX』が出ていて、その違いを見るのが楽しみですね。

ニコボド

本日はお忙しい中ありがとうございました。

Okazu Brand:林尚志

ありがとうございました。