ゲーム名 | グレンモアII:クロニクルズ (Glen More II: Chronicles) |
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デザイナー | マティアス・クラマー (Mttias Cramer) |
人数 | 2~5人 |
時間 | 90~120分 |
年齢 | 10歳~ |
メーカー | Funtails / engames |
『グレンモアⅡ:クロニクルズ』はこんなゲーム!
『グレンモアⅡ〜クロニクル〜』は、17世紀のスコットランドで影響力を拡大するタイル配置ゲーム『グレンモア』のリメイク作です。
プレイヤーは、17世紀のスコットランドの一族の長となり、スコットランド高地における影響力と権力を獲得することを目指します。
手番では、ロンデルに配置されているタイルを獲得して自分のプレイヤーボードに配置します。その際、配置したタイルと周囲8マスにあるタイルの効果が発動し、新たな資源を獲得したり資源変換をおこなうことができます。
ゲームデザイナーは、マティアス・クラマー氏。代表作に『ロココの仕立て屋』や『ランカスター』などがあります。原作となった『グレンモア』はマティアス・クラマー氏のデビュー作で、今回Kickstarterにて出資を募り発売に至っています。出資額の合計は、日本円で約2500万円でした!!
参考
Glen More II: Chronicles by Steffen Rühl (Funtails GmbH i.Gr.)Kickstarter
『グレンモア』と『グレンモアⅡ:クロニクルズ』の違い
前作よりも細かな調整がされているため詳細には数え切れないのですが、以下の点が大きな3点の変更点かなと個人的に考えています。
「氏族」の要素が追加に!
氏族のタイルが追加され、旅をすることで新たに資源が獲得できたり勝利点を獲得することができます。コンポーネントが豪華に!
前作では資源は全て木製キューブだったものが、それぞれユニークな形状の木駒になっています。8種類の拡張セットが同梱!
本作では8種類の拡張セットが同梱されています。全てを組み合わせて遊ぶことができるため、様々なバリエーションが楽しめます。
他にもゲーム自体が全4ラウンドになったり、タイルの内容や構成も変更になっています。
『グレンモアⅡ:クロニクルズ 日本語版』はEngamesから11月28日発売!!
『グレンモアⅡ:クロニクルズ 日本語版』は、富山のボードゲームカフェ&ショップの「Engames」から11月28日発売(販売価格: 9,900円(税込))を予定しており、ゲームマーケット2019秋で先行販売されます。(今回は、Engamesさんからサンプルをお借りしました。)
Engamesさんで予約すると、3つのプロモが無料で付属します。
(※その他ショップで購入する場合は、別途費用がかかるそうです)
- 拡張 年代記A
- 拡張 プロモ人物タイル:C&Dのタイルに「人物タイル」が追加に
- 拡張 プロモ氏族シールド:氏族ボードに新たな「氏族シールド」が追加に
『グレンモアⅡ:クロニクルズ』の勝利条件と終了条件
『グレンモアⅡ:クロニクルズ』の勝利条件
ゲーム終了時、最も得点の高いプレイヤーがゲームに勝利します。
『グレンモアⅡ:クロニクルズ』の終了条件
全4ラウンドが終了すると、ゲームが終了します。
『グレンモアⅡ:クロニクルズ』ゲームの準備
場の中央に、「ロンデルボード」と「氏族ボード」を配置します。
▲ロンデルボード
▲氏族ボード
「ロンデルボード」には各プレイヤー駒と、プレイ中に獲得することができる「タイル」が配置されます。
「タイル」は「S」「A」「B」「C」「D」の5種類があり、初期配置は「S」以降は「A」〜「D」が順にゲームに登場する形になっています。アルファベットが進むにつれて、「領土タイル」の効果はより強力なものになっていきます。
『グレンモアⅡ:クロニクルズ』各プレイヤーのセットアップ
各プレイヤーには、「初期タイル」「プレイヤー駒」「氏族マーカー」を配ります。
「初期タイル」の左側のエリアに「プレイヤー駒」を1つ配置し、残りの駒は横に置いておきます。「氏族マーカー」は、「氏族タイル」を獲得した際などに使用します。
『グレンモアⅡ:クロニクルズ』タイルの種類
『グレンモアⅡ:クロニクルズ』で登場するタイルは「領土タイル」と「人物タイル」の2種類。それぞれ以下のようになっています。
領土タイル
「領土タイル」は、すでに配置済みの「領土タイル」に繋げて配置するタイルです。「領土タイル」には主に4種類のアイコンが書かれており、それぞれ以下の通りとなっています。
- 左上:獲得に必要なコスト
- 右上:タイルの種類
- 左下:即時効果(1回のみ)
- 右下:タイル活性化時の効果
人物タイル
「人物タイル」は、すでに配置済みの「領土タイル」に繋げて配置されないタイルです。獲得時、「氏族ボード」に「氏族マーカー」を配置してその場所の効果を獲得します。
また、「人物タイル」はラウンド終了時の得点計算の対象となります。
『グレンモアⅡ:クロニクルズ』手番でやること
ゲームボード上の最も後ろの位置にいるプレイヤーが手番を行い、3つのアクションを順に行います。
3つのアクション
自分の色の駒を動かし、動かした先のタイルを獲得します。STEP2のアクションは「領土タイル」を獲得するか「人物タイル」を獲得するかで処理が異なります。
「1.駒の移動」で獲得したタイルを以下の3つの条件を満たすように配置します。
- 「プレイヤー駒」のいるタイルの周囲8マスであること
- すでに配置済みのタイルと辺がつながっていること
- 川は一致すること(ある場合は)
タイルに即時効果が書かれている場合は、この時資源を獲得します。その後タイルを活性化し、配置したタイルと周囲8マスにあるタイルの「タイル活性化時の効果」を使用します。
「人物タイル」を獲得し「氏族ボード」に「氏族駒」を配置します。その後、配置した先の効果を得ます。
「資源の獲得」「配置済タイルの効果使用」「勝利点の獲得」などの効果があります。
プレイヤーの手番終了後、最後尾のプレイヤー駒から1マス開けて新しいタイルを「ロンデルボード」に配置します。
生産品の購入と売却
手番中に「ロンデルボード」の中央で生産品の購入と売却をすることができます。
A. 生産品の購入
「ロンデルボード」にお金を支払い、「生産品」を購入します。購入価格はボードの状態によって異なります。(1〜3金のいずれか)
※お金を支払うスペースが埋まっている場合には、購入することはできません。
B. 生産品の売却
「ロンデルボード」からお金を得て、「生産品」を売却します。売却価格はボードの状態によって異なります。(1〜3金のいずれか)
※お金が「ロンデルボード」上にない場合には、売却することはできません。
例
上の例の場合、購入・売却価格は以下のようになります。
生産品 | 購入 | 売却 |
---|---|---|
牛 | 不可 | 3金 |
石 | 1金 | 不可 |
羊 | 3金 | 2金 |
木 | 2金 | 1金 |
麦 | 1金 | 不可 |
『グレンモアⅡ:クロニクルズ』ラウンドの終了と得点計算
「STEP4. タイルの補充」にて、タイルの山がなくなるとラウンドが終了します。その後、4つの項目に関して、最も数の少ないプレイヤーとの差を比べます。差分に応じて得点を獲得します。
- A. 城のミープルの数
初期タイル上の「城」にいる「プレイヤー駒」の数を比べます。 - B. 効果カードの数
「領土タイル」で獲得した「効果カード」の数を比べます。 - C. ウイスキーの数
生産した「ウイスキー」の数を比べます。 - D. 人物タイルの数
獲得した「人物タイル」の数を比べます。
『グレンモアⅡ:クロニクルズ』ゲームの終了と得点計算
「D」のタイルにある「World’d End」タイルが「ロンデルボード」に配置され、全てのプレイヤーがそのタイルを越えるとゲームが終了します。ゲーム終了時、通常の得点計算に加えてゲーム終了時の得点計算を行います。
- 配置済みのタイルの枚数を比べます。差分1枚につき「−3勝利点」を失います。
- 1金=1勝利点を得ます。
- 「効果カード」などに書かれたゲーム終了時に獲得する勝利点を得ます。
これら全てを合計し、最も得点の高いプレイヤーがゲームに勝利します。
『グレンモアⅡ:クロニクルズ』を実際に遊んでみて
どのタイルを獲得するかに一喜一憂!!
『グレンモア』は、タイルの獲得と他プレイヤーのインタラクションが非常に強いゲームです。ボード上に並んでいるタイルで、自分の欲しいものが何点かあるわけですが、それらを全て獲得することはできず欲しいタイルに優先順位をつけて獲得しなければいけない悩ましさがあります。
一方で先に進みすぎてしまうと、他プレイヤーとのアクション数に大きな差が出てしまうため程よく手番が回ってくる程度でタイルを獲得しなければいけません。他プレイヤーがどのタイルを欲しているのかは相手配置しているタイルを見ればヒントを得ることができますが、欲しいタイルを取れた(相手に)&取られたに一喜一憂しつつ自分の箱庭を完成させる楽しさがあります。
「領土タイル」をどこに配置するのかもなかなか難しい!!
タイル上の人物駒を動かしながらどこに新たなタイルを配置するかを選択していくわけですが、周囲8マスをどのように起動すると最大限自分のとりたい戦略が取れるかに悩みます。
一方ゲーム終了時にタイル枚数が多すぎると失点となってしまうため、本当に必要最低限のタイルのみで勝利点を獲得していく必要があります。多くのタイルを配置&アクションは多くの勝利点にも繋がるのですが、タイルの生み出す勝利点は「3点以上」の価値があることが理想になります。
今回の説明では割愛してしまいましたが、すでに配置済みのタイルを上書きするタイルもあるので最適な位置に勝利点へ変換可能な連鎖を作っておくことも重要です。
ニコ
コロコロ堂さんで開催された事前体験会へ参加したのですが、ゲーム終了時のタイル枚数の合計が3〜4枚で勝つプレイヤーがいたテーブルなどもあり、とても驚きました。
前作と比べると戦略の幅が大きく広がり色々なことを試すことができる!!
ここまで述べた魅力は、前作でも評価されていたポイントとなっていますが、『グレンモアⅡ:クロニクルズ』の大きな変更点の1つである「氏族マップ」によって、戦略の幅が広がっています。
前作では序盤で資源系のタイルを獲得しないことによるゲームの出遅れは顕著でした。しかし本作では、「氏族ボード」の移動による資源獲得が可能になったことによって、資源系のタイルを必ずしも取らなくても良い点が大きな変化です。
配置済のタイルのアクションを「氏族ボード」から活性化することもできるため、先に述べた必要最低限のタイルで勝利点を稼ぐ傾向はより増しているように感じました。
さらに、「氏族ボード」上には獲得できる勝利点の条件が示されているためプレイにおける指針にもなります。何を中間目標に据えて「領土タイル」を獲得するかの目安にもなります。
繰り返し遊べる8種類の拡張セット!!
「カルカソンヌ」の作者も参加している8種類の拡張セットもこのゲームの魅力です。
好きな年代記を追加することで、ゲームに様々な変化を加えることができます。各タイトルは以下の通り。
- 年代記1 ドラゴン・ボートレース
- 年代記2 ハイランド人 ー 存在できるのはただ一人
- 年代記3 老ジェイミーのシングルカスクリザーブ
- 年代記4 スコットランド人への鉄槌
- 年代記5 ハギスへの取り組み
- 年代記6 スコットランド史の怪しげな書物
- 年代記7 板挟みになって
- 年代記8 ペニー・モブ
「年代記2 ハイランド人 ー 存在できるのはただ一人」は、『カルカソンヌ』作者のKlaus-Jurgen Wrede氏が。「年代記8 ペニー・モブ」は、Arve D. Fuhler氏が手がけています。
ニコ
各拡張を組み合わせて遊ぶことができるので、256通りの遊び方のパターンになるとのこと。絶対に遊び切れない自信があります!!
コンポーネントが豪華!だけど箱がとんでもなく大きい!!
前作の残念ポイントとしては、同梱のコンポーネントがイマイチだったという点があります。
▲旧作「グレンモア」のコンポーネント
具体的には、「ウイスキー」以外の駒が全て色付きの立方体キューブでした。この点はテーマの再現性を下げているなと感じた前作のネガティブ点でした。もちろんゲームの値段に見合ったコンポーネントではありましたが、質素さを感じたのは正直なところです。
本作では、各コンポーネントがユニークな形の駒になっている上、タイル自体も大きくなってとても豪華になっています。それに伴って箱の大きさも大幅アップしています!!
おわりに
今回は、スコットランドでの影響力を高めるタイル配置ゲーム『グレンモア (Glen More)』のリメイク版『グレンモアⅡ:クロニクルズ』をご紹介しました。
名作タイル配置ゲームが豪華版として帰ってきた形ですが、戦略の幅が広がったより面白いゲームになっています。前作が好きだった方はもちろん、タイル配置ゲーム好きな方にぜひ遊んでいただきたい一作です。
Engamesさんの特設サイトでは「グレンモアII:クロニクルズ」の「メタルコイン」と「インサート」の予約受付もされています。なくても、ゲームをプレイするのに全く影響はありませんが2つのネガティブポイントを解決することができるため簡単にご紹介します。
『グレンモアⅡ:クロニクルズ』メタルコイン
「グレンモアII:クロニクルズ」の標準コンポーネントの「お金」と「勝利点」は全く同じ大きさになっています。
そのため、困2つのコンポーネントを手元に置いておくと取り違えてしまったり数え間違えてしまう場合があるので、パッと見で区別がつくようになるのは良いかなと思います。
コインサイズも全く同じで、ロンデルボード上にお金を支払う際も通常のコインと同じように扱えます。
『グレンモアⅡ:クロニクルズ』インサート
Kickstarterのストレッチゴールによって追加された豪華な「プラスチックインサート」が標準で付属しているのですが、全コンポーネントを収納するのが少し難しいという残念なところがあります。
上の写真のように、入るには入るけれどかなりギュウギュウです。インサートを使えば・・・
(引用:Engames Shop)
こんな感じのぴったり収納になるそうです。ゲーム内の収納が気になる方はこちらのインサートも検討してみると良いかもしれません。