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【コラム】常に攻め続けるボードゲーム出版社「Deep Print Games」はイイぞ!

この記事は、ぐらさん(@grapswiz)主催「ボドゲ紹介 Advent Calendar 2022」の10日目の記事です。前日の記事は、まよ.さん(@pO_OqoO)の「眼と目が合って一目惚れした時の話」でした。『ドレッドフルサーカス』めっちゃやりたくなったし、一代前のスマホちゃんのインパクトすごかったなぁ😂

予告編では『ディープ印刷なやつ』って書いていましたが、残念ながらボードゲーム印刷に関するエトセトラ的なのを期待していた方がいたら、すみません!!

今回の記事は、常に攻め続けるボードゲーム出版社「Deep Print Games」について語ります。

どのくらい好きかというと、全作品を集めるくらいに好きです。

「Deep Print Games」は「eggertspiele」の生まれ変わり

みなさんは、「Deep Print Games」って知っていますか?

Deep Print Games Logo

今日は、出版社名だけでも覚えてもらえればと思っています。(なんか漫才の出だしみたい)

「Deep Print Games」は、2020年に6名の共同出資によって創業された新興出版社です。

  • Peter Eggert(元eggertspiele/元Plan B Games)
  • Philipp El Alaoui(元eggertspiele/元Plan B Games)
  • Matthias Nagy(Frosted Games)
  • Viktor Kobilke(元eggertspiele/元Plan B Games/元Frosted Games)
  • Karsten Esser(Pegasus Spiele創業者)
  • Andreas Finkernagel(Pegasus Spiele創業者)

見ていただくと分かるとおり、6名のうち3名が元eggertspieleのメンバーなわけです。

ブランドだけ「Asmodee」に取られた「eggertspiele」

「eggertspiele」というと、『グレート・ウエスタン・トレイル』『モンバサ』『村の人生』などゲーマーズゲームを手掛ける出版社でした。

どうして過去の話として書いたかというと、「eggertspiele」は2018年に「Plan B Games」の傘下に入り、その後2021年に「Asmodeeグループ」に買収されています。

2019~2020年に元々「eggertspiele」にいたメンバーは退社していて、言い方は悪いですけど「Asmodee」と「Plan B Games」に「eggertspiele」のブランドだけ持っていかれてしまった形になっています。

そんな3名のメンバーを中心に、「Plan B Games」退社後に発足させたのが、「Deep Print Games」なのです。


参考
AsmodeeがPlan B Gamesを買収!Eggertspiele、Next Move Games、Pretzel Gamesが傘下にBROAD|ボードゲームマガジン

凄腕編集者Viktor Kobilke氏の存在

「eggertspiele」を人気出版社にした立役者は、編集者&デベロッパーのViktor Kobilke氏です。別記事「凄腕のボードゲーム編集者・Viktor Kobilke氏について調べてみた」でその凄さについて書いていますが、「ドイツ年間ゲーム大賞」では、『村の人生(KDJ)』『キャメルアップ(SDJ)』『アズール(SDJ)』などで大賞を受賞しています。

「Frosted Games」でKobilke氏が手がけた『ウォーターゲート』『クーパーアイランド』なんかも奥深さがあって面白く、一時は“Viktor Kobilke氏のゲームかそれ以外か”ばかり話していました。

何が言いたいかというと、「eggertspiele」で魅了した編集力は「Deep Print Games」で健在なわけなのです。

そんなKobilke氏ですが、2022年に日本語版が発売された『スカイマイン』においては、Alexander Pfister氏と共にゲームデザイナーとしてその名を連ねています。

ボードゲームビジネスのトレンドは1▶︎100

話は少しそれますが、昨今のボードゲームビジネスにおいて新作ゲームを作る際の傾向は既存の人気タイトルのシリーズ作を新作として発売だったり、既存の人気タイトルの新版を制作というのが顕著であると個人的に考えています。

特に「Asmodee」傘下の出版社はその傾向が強く、「Hans im Glück」は『カルカソンヌ』、「Lookout Spiele」は『アグリコラ』、「Days of Wonder」は『チケット・トゥ・ライド』と、有名タイトルの派生作・新版・記念版を軸に展開しています。

実際、現在の「eggertspiele(Asmodee)」は『キャメルアップ新版』、『グレートウエスタントレイル3部作』、『村の人生新版&BIG BOX』などが名を連ねていて、既存タイトル焼き直しばかりなわけなのです。

ビジネスとして考えると、既に人気のあるタイトルにあやかるのは、王道の戦略だとも思います。

新しいゲーム体験に出会いたい願望

どうして日々ボードゲームを遊ぶのかというと、仲間と一緒にゲームを楽しむというのがある一方で、新しいゲーム体験を追い求めて遊んでいる節が個人的にあります。

新しさという観点からすると、もちろん買ったり遊んだりはしますが既存タイトルの焼き直しだったり新版は少し刺激が足りないなと思ってしまうわけです。

「Deep Print Games」は0▶︎1を産む出版社

本題である「Deep Print Games」はどうかというと潔いほど常に新しいゲームシステムを追求しているのが大好きな点の1つです。

新しい出版社なので人気タイトルがないという点は否めませんが、クラウドファンディングなどもせず自己資本で常に斬新な新作を発表し続けているわけです。

私の考える「Deep Print Games」の魅力は、主に以下の3点かなと思っています。

  • 魅力①:常に新しいシステムを追い求めている✨
  • 魅力②:何度も遊べる燻銀なリプレイアビリティ♻️
  • 魅力③:全体的に地味な箱絵😱

ここからは今までに「Deep Print Games」が発売してきたタイトルを振り返りつつ、日本語版の出ている各ゲームの魅力を語ります。

色眼鏡がかかっているかもしれませんが、イイところ・ダメなところをそれぞれ紹介してみます。

1. リネイチャー (Renature)

「リネイチャー」のイイところ👍

  • ドミノで陣地を囲う仕組みが斬新‼️
  • ドミノ配置▶︎植樹▶︎囲まれると陣取り計算発生。早めに影響度の高い駒を置いておきたいけど、計算が発生するかは確約されず、競合がいないと成り立たないジレンマが最高✨

陣取りゲームではありますが、ドミノによるはいちせいげんを受けるためどのタイミングで自分が高得点になるように置くかが難しい本当に良い洗面器ゲームです‼️

「リネイチャー」のダメなところ👎

  • テーマがマジしっくりこない
  • 無駄に木駒使いまくりで出血大サービス

2. 京都議定書 (Kyoto)

「京都議定書」のイイところ👍

  • 地球を壊すと勝利点が入る風刺の効いたシステム🌍
  • 完全に生物が死滅しない程度に各国の利権を守る人間の愚かさを表現

終始、地球を守るためにお金もしくは政策を実施するかどうかを交渉するゲーム。

当時、日本語版が出るとは思わなかった&プレスリリースがバズってバカ売れして現在入手難なゲーム。

ゲームとはいえ、地球破壊エンドになると何ともいえない悲しい気持ちなる不思議なプレイ感🤣

「京都議定書」のダメなところ👎

  • 今どき珍しいインタラクションしかないゲームなので好き嫌い分かれそう
  • 動物達がどうしても死滅してしまうので、何度やってもピンとこないモヤモヤ感が残る

3. ロールシャッハ (Kyoto)

「ロールシャッハ」のイイところ👍

  • お題、回答のセットをいかにこじつけるかが楽しい✨
  • こじつけの答え合わせで言い合いになって盛り上がる🤣

「ロールシャッハ」のダメなところ👍

  • 箱も盤面もくっそ地味
  • ロールシャッハの絵と言葉を無理やりこじつけてつなぐので頭がちょっとバグった感覚になる😂

4. ジューシィーフルーツ (Juicy Fruit)

「ジューシィーフルーツ」のイイところ👍

  • タイルのスライドでリソースが湧くメインメカニクスが新しい
  • お題達成で島が広がるゆるい拡大感が良き

フルーツタイル移動⏩移動距離分のフルーツを獲得⏩お題を達成する⏩島が広がる

島を開拓している感じの拡大再生産感はパズル的思考を求めらられつつ、唯一無二なプレイ感なのが気に入ってます✨

ちゃんとゲーマー向けに別で進むジューストラックなんかも用意されていて、配慮が有難い😂

「ジューシィーフルーツ」のダメなところ👍

  • 駒が大きくて豪華なのに盤面に反映されるわけではないし、盤面はやっぱり地味

5. サバンナパーク (Savannah Park)

「サバンナパーク」のイイところ👍

  • 並んでるタイルを違う場所に移動させるプレイが斬新✨
  • タイルに複数アイコンがあって、同じアイコンを繋げると得点が高くなるシステムの発明

ありそうでなかった同時処理パズルが斬新です。得点システムは、クラマー&キースリングコンビの「アズール:王妃の庭園」「AMYGDALA」でも採用されています。

「サバンナパーク」のダメなところ👍

  • 動物が山火事で燃える非情なシステム❤️‍🔥
  • 盤面は地味。開始時と変わらない🤔

6. コロージョン (Corrosion)

「コロージョン」のイイところ👍

  • エンジンビルド系なのにエンジンが定期的にぶっ壊れるのが新しい🤣
  • 結果、拡大と縮小のバイオリズムが生まれて独特のプレイ感に✨
  • エンジンぶん回しがハマった時が最高に気持ちいい

「コロージョン」の特徴は、エンジンを作っては劣化する耐久システムがあるのが特徴です。

拡大再生産では上昇曲線は右肩上がりになるのですが、このゲームは上がり下がりのバイオリズムがあります。

そこを加味して突然凹まないようにする仕込みが重要です。

「コロージョン」のダメなところ👍

  • 場所をめっちゃとる
  • 他プレイヤーに相乗りするシステムがプレイのスムーズさをやや損っていて長時間になりがち

7. スカイマイン (Skymine)

「スカイマイン」のイイところ👍

  • 「モンバサ」の正統進化が楽しめる✨
  • 株価トラックx株券による得点システムを中心とした6軸の得点トラックがやっぱり面白い
  • 旧「モンバサ」ルールも楽しめるしソロプレイ対応も!

Alexander Phister氏の初稿から2年をかけて開発された重量級ゲーム「モンバサ」の正統進化が楽しめます。

6軸の得点トラックによる得点は、2015年当時非常に珍しく今の重量級ゲームの得点ルートにも繋がっていて当時斬新なゲームでした。これは体験してほしい!!

まとめ:「Deep Print Games」はイイぞ!

「Deep Print Games」には常に新しい驚きがありますし、本当に信頼がおける出版社だと思っています。

『グレート・ウエスタン・トレイル』も今でこそ人気ですが発売当時は4000円とかで割り引かれて販売されていて、寂しい思いをした物です。

そんな「eggertspiele」時代のダメな面もしっかり受け継いでいる「Deep Print Games」最高です!私は全作を買い続けると勝手に誓っています。

ここまで全作日本語版を発売して下さっているホビージャパンさんには感謝しかありません。

というわけで、「Deep Print Games」のゲームに出会った際にはその燻銀っぷりをしっかり味わいつつ楽しんでいただければ嬉しいです。それでは、素敵なボードゲームライフを✨